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実験のdiscussion

さて、実験の目的に移ろう。たとえ話らしいが紹介する [2]。ある学生( 実験前の十分な議論がほし い)さんは研究室に配属されて早速仕事をもらった。竹ひごを炭 化しろという。学生さんは失敗に失敗を繰り返してようやく作った。 先生はそれに電流を流して焼き切り、また作れという。学生さんは またしても苦労して炭化させた竹ひごを作った。そして焼き切れま た作らされた。学生さんはなんのために仕事をしているのかわから ず不満は募る一方だった.... 分かるだろうか、先生は電球のフィ ラメントを作りたくて学生さんに頼んでいたのである。十分な実験 の目的の説明があれば、学生さんはもっと効率よく仕事をこなした だろうし、第一、気持が全然違う。

これは笑い話ではない。実験の最初のうちはなんのために実験をやっ ているかという目的がはっきりしているが、実験を繰り返すうちに 目的がはっきりしなくなることが実に多い。その時にそのまま繰り 返していると、本当に何をやっているのか分からなくなって来る。 データが出ても役に立たないし、時間が無駄になってしまう。

ここには2つの問題点がある。つまり指導者側と指導される側であ る。指導者は実験の理由、意義、動機、展望などについて説明しな ければならない。また指導される側はこれらのことについて説明を 求めないといけない。ただ具体的な作業だけに満足しているのでは いけない。

ただやれとか、やっているうちに分かる、とかいうのは良くない。 しっかりと納得する理解があってこそ、きちんとした仕事ができる ようになる。

実験をはじめる前に十分なdiscussionが欲しい。実験の意義は何か。 目的がどこにあって、今回の実験でどこまで明らかにするか。実験 の手順はどのようにすると手際よく済むか。こういったdiscussion は短時間でも非常に効果があるし、時間がかけることができれば、 目的意識がはっきりして実験はスムーズに行うことができる。



otabe@cse.kyutech.ac.jp
Wed Nov 22 11:40:00 JST 1995