夏場はコンサートのシーズンではないのですが、それでも合計する と大小7つくらいのコンサートに行っております。値段は日本に比 べると極端に安いです。その中で印象に残っているものをレポート しましょう。
地下鉄の広告でアルゲリッチのピアノ、アシュケナージの指揮によ るショパンの「ピアノ協奏曲第一番」があるのを見つけたときには 驚愕しました。落ちつけ、落ちつけ、ここはベルリンなんだからこ ういうコンサートがあってもおかしくはない。早速電話で予約をし て当日を待ちました。よくあることですが、アルゲリッチは病欠で Eldar Nebolsin(エルダー=ネボルシン)というウズベキスタン出身 の23才の若者が弾くことになりました。会場はフィルハーモニーと いうところでオーケストラ専用のホールです。ここではオーケスト ラを囲むように席が配置されていて、私はピアニストの背中の方に なり指揮の様子などがよく分かる、なんか音大の学生さん向けのと ころに座りました。演奏は期待した以上にすばらしくて私たちは四 回も彼をステージにあげて小曲を一曲弾いてもらいました。思い出 に残るいい演奏会でした。
次のはWaldbuehne(森の舞台)と呼ばれるすり鉢状の野外劇場でベル リンフィルハーモニーが演奏する、題して「ペテルスブルクの夜」 というコンサートです。この会場は二万人を収容することができて、 もちろんオーディオを使って演奏を楽しむことになります。指揮は Zubin Mehta、ピアノはDaniel Barenboim(バレンボイム)で第一部 はチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第一番」でした。落ちつけ、 落ちつけ、ここはベルリンなんだからこういうコンサートがあって もおかしくはない。
ところで6/29のこのコンサートを最後にベルリンフィルは夏休みに 入ります。ベルリンっ子はこれを夏の最初のイベントとして楽しみ にしています。よく晴れたいい天気のもと、ピクニックと同じでか ごにパンとワインを入れて、早めにたどり着いて食べながらコンサー トを待ちます。だんだん私は怪しくなってきているのに気がつきま した。子供ははしゃいでいる、記念撮影はしている、まるでクラシッ クコンサートではありません。時間になり演奏が始まると私はすば らしい演奏にも関わらず、まわりが気になってあまり集中できませ んでした。もちろんテレビの生中継がありカメラはうるさいし、極 めつけは第一楽章が終わったところで万雷の拍手があったことです。 第二楽章が終わったところで前の観客はプログラムが終わってしまっ たねと言い出す始末。演奏が終わってどうなるのだろうと思ってい たのですが、拍手に応えてバレンボイムは「子犬のワルツ」を軽や かに弾いていきました。
しかしだんだん分かってきました。第二部になるとだんだん暗くなっ てきてあちこちにろうそくが灯されます。そしてサッカーで見るよ うな花火。アンコールに入って指揮者自ら説明があり、ますます観 客もフィルも楽しんでいます。いくつかのアンコールの後におきま りの ``Berliner Luft''という曲がかかると指笛が起こりお祭り気 分です。すべてが終わってしまうと軽いブーイングが起こったとこ ろも面白かったです。こうしてベルリンの夏の最初のイベントが終 わりました。
7カ国から7人のテノール歌手を集めてのコンサートというのがあり ました。国際都市ベルリンらしいイベントです。これを日本でやろ うと思うと大変なことだと思います。夏ですのでオープンエアで行 われます。各国の母国語で歌われるオペラからの一部の曲はまさに その国の人の喉に言葉にあっているようで、楽しめました。