そうした磁界が電流と平行でない場合(これを横磁界と呼ぶことに しよう)に比べて、磁界と電流が平行な縦磁界の場合には、量子磁 束にLorentz力が働かず、奇異な現象が観測される。その最たる ものが図1に示されるように超伝導体の一部で絶対的に負の電界が 観測されることである。この他に上に述べたJosephsonの式が成立 しないことも知られている。なお、一部の高温超伝導体では、抵抗 の温度変化が横磁界でも縦磁界でも同じでLorentz力の有無に関 係ないことから、抵抗発生の機構が量子磁束の運動ではなく揺らぎ によるものであるとの議論がある。この議論は一見、尤もなようで あるが、ここに問題が含まれている。
Figure 1: 縦磁界下のPb-In超伝導試料の長さ方向の各部位での電流-電
圧特性。