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現代人の月

さて最後に現代人にとっての月を考えてみたいと思います。現代人 にとって月はかつて無い程、遠のいてしまいました。

荒俣宏の「別世界通信」の始めの文章に月が出て来ます。ファンタ ジーでは異世界を考えますが、一番近い異世界は昔から月だったわ けです。そこに見えながら絶対手の届かない世界。そう考えれば考 える程、魅力的で神秘的だったのです。

しかし、現代人にとって月は地上も同然です。そもそも地上を這っ て飛ぶことも出来なかった人は、その自らの手を使ってついに月に たどり着いてしまった。その時、月はいままでの深遠な存在から、 文字通り地に落ちたのです。というような始まり方をします。

ここではもはや月を見ない現代人にとって、どういうちぐはぐなこ とがおきているかまとめたいと思います。





otabe@cse.kyutech.ac.jp