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はじめに

実験は基礎実験から始まって専門実験も一通りこなして来たはずな のに、卒業論文で研究室に配属された学生さんはどうも実験につい て知らなさ過ぎるような気がするのは、単なる気のせいだろうか。 実験の仕方はもちろんだが、それ以前のごく当り前と思われるとこ ろが分かっていない。そのために歯車がどうも合わないような感じ になってしまう。

この文章は、( 対象としている方々)大学4年になって研 究室に配属された学生さんとそれを指導する大学院の学生さんのた めに実験の初歩の初歩を紹介する。実際の実験はここに紹介してい ることのあとにあるもので、果てしなく長いものである。

紹介している話はごく身近でよくある話である。あたりまえのこと ( 実験の初歩の初歩とは)ばかりなのだが、あえて書き連 ねることにした。こういう実験技術以前の話を知っていてもらって もいいと思うからだ。

実験を成功させるためには、長い時間をかけた十分周到な準備が必 要であり、それでもなお失敗することは多い。そこで、あきらめず たゆまずうまず努力を続けると、道が開けていく。実験のいいとこ ろは確実にそのステップが残り、形として成果が現れることである。 困難なことには達成したかどうか分からないことがものも多い中で、 これは実験の有利な点である。苦労した分、成功して世界に誇れる データを得た時の感動はなにものにも替えがたい。また自分が発見 したことで、大きく社会が変わることだってありえるのだ。

では、早速実験をはじめる前の段階から話を進めることとしよう。 ここが非常に重要である。



otabe@cse.kyutech.ac.jp
Wed Nov 22 11:40:00 JST 1995