Kindle Direct Publishingで教科書(理系書籍)を電子出版してみた その2


背景

その1はここです。

理系書籍には式や表や図が多く、これを電子書籍に変換するのは大変な作業が必要でした。実際に前回はもともとTeXで作っていたものをWordに入れ直して、大変な調整作業をしてようやく出版にこぎ着けました。

しかしあれから2年経ってようやく割と簡単に、満足できる品質で理系書籍を電子出版できるようになりました。夢が叶いました。ここではその方法についてまとめます。あちこちで地道にソフトを開発し続けてくださっている多くの方々に感謝します。

この記事は2016年4月時点で書かれています。


準備

環境はWindowsで行っています。TeXのインストールをする必要があります。「TeXインストール」あたりで検索するとたくさん出てくると思います。ここでは「TeXインストーラ3」を使いました。これによりかなり多くのTeX環境が入ります。ここに実は必要だったlulatexとかtex4htとかが知らない間にインストールされていました。ありがたいことです。

次にalternative4ht.styというのを入れる必要がありました。これは下記にありました。
helpers4ht これをInstallationにしたがって、まずkpsewhich -var-value TEXMFHOMEをcmdでやってみると、メタフォントのディレクトリがでてきますので、その下にtex/latexというのを作ってあげます。 C:\Users\otabe\texmf\tex\latexみたいになります。ここにDownload ZIPで全てのファイルを落としてきて、ファイルを展開して入れて置きます。

Kindle for PCが日本でも使えるようになりました。これもここ2年での変化です。これを入れて置きましょう。ダウンロードしたmobiファイルをプレビューすることができます。


TeX原稿からHTMLを作る

TeX原稿からEPUBを作りたい」に3つほどTeXからEPUBを作る方法が載っておりました。すべて試したのですが、結局tex4htを使って変換しました。p23あたりに書かれています。

TeXの原稿では次の様に書きます。

\documentclass{report}

\usepackage{alternative4ht}
\altusepackage{fontspec}
\altusepackage{xeCJK}
\altusepackage{xunicode}
\setCJKmainfont{IPAMincho}

\begin{document}
中身

\end{document}
    
ファイルはutf-8で準備します。EUCとかSJISとか言っていた時代がとおく感じます。

pTeXは使わず、TeX4ebookのパッケージ機能を利用してfontspecを使うようです。これを

make4ht -l -d distination book.tex

というようにしてcmdから実行すると、book.htmlができます。-lはlulatexを使うということです。-d はdistinationというディレクトリを作って、そこに必要なフィアルをコピーしてくれます。

このdistinationの中のbook.htmlではいろいろと素晴らしい変換がされています。

下に変換されたhtmlの表示例を示します。結構いいです。なんか数式が大きく感じるかも知れませんが、ちょうどこれが電子書籍になったときにいい大きさになるようにしました。


Kindle Direct Publishingで出版

htmlファイルとpngができれば、これらを固めてzipファイルにすれば、Kindle Direct Publishingで入稿することができます。向こうではこれをbook.mobiに変換してくれます。このbook.mobiをダウンロードすれば、Kindle for PCでプレビューすることができます。htmlでは大きかった数式がまあいい感じで入っていることが分かると思います。

ちなみにスマホだとまだまだ式の大きさが小さいようでした。


アレンジしたい

いくつかKindle for PCで見ていると不満な点があるので、アレンジしました。

LaTeXをウェブに載せよう tex4htの使い方 が大変役に立ちました。


まとめ

うまくTeX原稿からhtmlを作り上げてKindle Direct Publishingに入稿することができました。

結局準備としてはTeXとstyleファイルとKindle for PCくらいですむので、楽です。またコンパイルもmake4htを使うので、一発です。pngを作るので、すごく時間がかかるかも知れませんけど。

品質もまあ満足できるものになっています。課題としては目次が完全では無いので、なんとかしたところですが、まあ実用上はそこまで問題ないでしょう。本当はpngではなくてsvgを利用して、MathMLのようにきれいな数式で拡大自由自在になるといいのですが、それはまた数年先ということにして、期待しましょう。今回は本当に満足しました。

電子書籍のメリットを大いに享受したいところです。マークやコメントをつけたり、自由に検索したり、URLを埋め込むこともできますね。ぜひ、理系書籍をどんどん電子書籍にしていきましょう。


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