ソレノイドコイルにおけるベクトルポテンシャル

ここではソレノイドコイルに電流が流れているときのベクトルポテンシャルを表示してみよう。このときの磁束密度はB=μ_0nIである。
ベクトルポテンシャルは電流と同じ方位角方向であり、その大きさは
A=(μ_0nIa^2)/(2R) (R>a) aはコイルの半径
とあらわされる。

このときに定数項をはぶけば、A=1/Rとなる。ただしプログラムでは、R=0で発散するのを防ぐようにする。

下の例では等ベクトルポテンシャル面を表している。

Clear[afai, r, phi] ;

afai[r_] := If[r == 0, 0, 1/r] ;

r[x_, y_, z_] := Sqrt[x^2 + y^2] ;

phi[x_, y_, z_] := Arg[x + I * y] ;

Needs["Graphics`ContourPlot3D`"]

gra1 = ContourPlot3D[afai[r[x, y, z]], {x, -2, 2}, {y, -2, 2}, {z, -1, 1}, Contours→ {0.5}]

[Graphics:HTMLFiles/index_9.gif]

-Graphics3D -

等ポテンシャル面を表示させてみると、z軸を中心とする円筒になっていることがわかる。これを上から眺めれば以下のようになるだろう。

ContourPlot[afai[r[x, y, 0]], {x, -2, 2}, {y, -2, 2}, PlotPoints→30, ContourShading→False]

[Graphics:HTMLFiles/index_12.gif]

-ContourGraphics -

横軸をRで、縦軸をAにとれば下記のようになっている。

Plot[afai[r], {r, 0, 3}, PlotRange→ {-1, 10}]

[Graphics:HTMLFiles/index_15.gif]

-Graphics -

次にベクトルらしくベクトル場での表示をしてみよう。

Needs["Graphics`PlotField3D`"] ;

gra2 = PlotVectorField3D[1/r[x, y, z] * {-y, x, 0}, {x, -2, 2}, {y, -2, 2}, {z, -2, 2}, VectorHeads→True, ScaleFunction→ (0.5&), PlotPoints→5]

[Graphics:HTMLFiles/index_19.gif]

-Graphics3D -

最後に三次元の図を重ね合わせてみる。等ベクトルポテンシャル面ではベクトルポテンシャルの大きさは同じになっている。方向は方位角方向を向くことになる。

Show[gra1, gra2]

[Graphics:HTMLFiles/index_22.gif]

-Graphics3D -

少しパラメータを変えて表示しなおしてみると以下のような感じ。

gra1 = ContourPlot3D[afai[r[x, y, z]], {x, 0.1, 2}, {y, 0.1, 2}, {z, -1, 1}, Contours→ {0.5, 1, 2}]

[Graphics:HTMLFiles/index_25.gif]

-Graphics3D -

gra2 = PlotVectorField3D[1/r[x, y, z] * {-y, x, 0}, {x, .2, 2}, {y, .2, 2}, {z, -1, 1}, VectorHeads→True, ScaleFunction→ (0.5&), PlotPoints→7]

[Graphics:HTMLFiles/index_28.gif]

-Graphics3D -

Show[gra1, gra2]

[Graphics:HTMLFiles/index_31.gif]

-Graphics3D -

磁束密度はコイル内に集まっていて、コイル外ではゼロであるが、ベクトルポテンシャルはコイル内外に分布している。方向は電流方向なので方位角方向であり、大きさは1/Rでだんだん減衰していく。AB(Aharonov Bohm, アハラノフとボーム)効果ではコイル外にベクトルポテンシャルが存在することで、電子線による干渉パターンが変わるというものであり、日立の外村博士らにより実際に実験的に実証され、ベクトルポテンシャルの直接的な存在証明となった。


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