研究テーマ

研究内容

高温超伝導体の応用の可能性を握るのは液体窒素温度(77.3 K)などで

直流電気抵抗なしに流せる電流密度(臨界電流密度)である。

抵抗を生じないのは、電流によるローレンツ力が働いても

量子化磁束が動かないためである(動けば誘導電界が生じ、抵抗が発生する)。

このように量子化磁束の動きを止める作用を磁束ピンニング、その作用をする

超伝導体内の欠陥(常伝導析出物など)をピンという。したがって、強いピンを

超伝導材料の中に分散させることが大切である。ここでは有限温度での量子化磁束の

熱活性化運動(磁束クリープ)の影響下における磁束ピンニング特性を実験と理論の

両面から評価し、特性に及ぼす超伝導体の異方性、サイズの影響などについても

調べている。さらに、交流通電下などで生じる交流損失の解析を行い、ポテンシャル場

での量子化磁束の運動を積極的に利用して交流損失を大幅に低減する方法について

提案し、その検証を行っている。

教授

超伝導体の応用の可能性を左右するのは、電気抵抗の発生なし に流せる最大電流密度である、臨界電流密度の値である。この値 を決定するのは超伝導体内の磁束線のピンニング機構であり、臨 界電流密度の特性をよくするためにこの機構の解明と理論解析を 行っている。また、こうしたピンニング効果のために起こる様々 な電磁現象の基礎となる基本原理についても学んでいる。

研究室

超伝導体の応用において重要な臨界電流密度を決定する要因で ある磁束線のピンニング機構を調べ、いかに効率よくピンニング ・センターを導入するかを研究している。また、高温超伝導体の 場合にはこうしたピンニング機構の解明だけでなく、特性を劣化 させる弱結合の改善のための研究も行っている。さらに、ピンニ ング機構に関連して起こるピンニング損失などの電磁特性につい ての解析や評価も行っている。

基本姿勢

新しい超伝導材料の特性を調べ、ピンニング機構や磁束クリー プに対するポテンシャルなどから、応用可能な温度や磁場の領域 を明らかにする。また、そうした材料を使用したときの損失など の電磁特性の評価を行う。

産業界へのコメント

超伝導は工学的応用が可能となったときの社会的インパクトが 大きいと言われつつも、なかなか実現のめどが立たず、そうした 応用研究から手を引く企業が多い。しかし過去の例から見て、研 究の継続は必要である。また外で成功してからそれを追い掛けれ ばよいような時代ではなくなっている。すなわち、ベンチャー的 な研究として希望をもって、しかし上っ面だけを追い掛けること なく、コツコツと続けてほしい。

研究の未来

エネルギー分野では高温超伝導体を用いた電力輸送が、また金 属系超伝導体を用いた発電機、エネルギー貯蔵装置が、そして情 報分野では金属系超伝導体を用いたジョセフソン超高速コンピュ ータが実現。

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