超伝導を取り入れた電磁気学の講義ビデオ On-line Provided Educational Video Program on Electromagnetics 九工大・情報工 O 福田光洋, 小田部荘司, 松下照男 O M. Fukuda, E. S. Otabe, T. Matsushita Kyushu Inst. of Tech. E-mail:fukuda@aquarius10.cse.kyutech.ac.jp はじめに 九州工業大学では、メディア教育開発セン ター、北陸先端大学院大学と共同で次世代における遠 隔教育環境の実現に向けての試みとして平成 11 年度より バーチャルユニバーシティプロジェクトが進められてお り、インターネット上で配信される各種の講義ビデオを 作成している。ここでは、そのコンテンツの一つである 学部生向けの電磁気学の講義ビデオについて具体的な作 成過程を中心に紹介する。 特色 ネット上で教材を配信することにより、時間や場 所にとらわれずに受講することが可能となる。また、学 Fig. 1 超電導体の磁気浮上実験。 部生も通常の授業に加えて予習、復習のためのツールと して用いることができる。 講義内容では、 E-B 対応を徹底させ、また超電導に 1 章を割くことにより、電磁気学をより体系化させること ができた。特に超電導の章ではマイスナー効果や磁気浮 上現象などの実験を示すことにより、現象の理解を深め るようにしている (Fig. 1 参照)。さらに超電導体の磁化 と磁性体の磁化の違いを明確にし、これを導体の静電誘 導と誘電体の電気分極との関係に対応させ、電気現象と 磁気現象の対応を一層密なものとしている。 作成手順 教材作成のための具体的な作成手順として は、 (1) 講義の撮影 (2) 動画、静止画の作成 (3) 図や数式をまとめたスライドの作成 (4) 編集 (5) ホームページの作成 などが挙げられる。 (1) のみは Fig. 2 に示されるように 専門の業者に依頼したが、 (2) から (5) にかけてはすべ て研究室でパソコンを用いて行われた。特に (4) につい ては、最近のパソコンを用いてのビデオ編集環境が発 展していることにより、内容の更新が容易に行えるた め、講師の意見を直接反映した教材作成が可能となっ た。また、 (2) については、 Fig. 3 に示されるようなコ ンピュータグラフィックスによる動画を多く用いること により物理現象の理解を促すことができる。 検討 図の作成、ビデオ編集からインターネット上の配 信までを研究室のパソコンで行えるため、講師の意見を 直接反映させた教材を作ることができた。とりわけ実際 に電磁気学の講義を受講したことのある学生が教材作成 に参加することにより、ビデオを見て受講する学生の視 点から、よりわかりやすい教材が作成が可能である。 今後本格的に運用された際には、演習問題などを定 期的に配信し、より受講者と講師との双方向性を持たせ る必要がある。また教材を閲覧した学生の意見を取り入 れ、より内容を分かりやすく更新させる必要がある。