Y-123 超電導体のピーク効果と磁束ピンニング機構 (I) Peak effect and flux pinning mechanism in Y-123 superconductor* * (I) 九工大・情報工 A, 九大院・シス情 B O吉見太佑 A, 右田稔 A, 小田部荘司 A, 松下照男 A;B D. YoshimiA, M. MigitaA, E. S. OtabeA, T. MatsushitaA;B, Kyushu Inst. of Tech.A, Kyushu Univ.B, yoshimi@aquarius10.cse.kyutech.ac.jp はじめに 酸化物超電導体において臨界電流密度がある磁束クリープフローモデルによ* *る理論結果との比較を示 温度 . 磁界領域でピークを持つということが報告されてす。これより、試料 00、 01 * *ともほぼ不可逆磁界が理論 おり、溶融法により作製された Y-123 バルク超電導体も結果と一致していることがわ* *かる。図 1、 2 の理論結果 中磁界でブロードなピークを持つことが知られている。との比較より、低、高磁界領域* *においては 211 相のみが 現在 Y-123 超電導体のピーク効果は酸素欠損などの低ピンニングに関与しており、不* *可逆磁界は 211 相によっ Tc相により起こることが明らかにされてきたが、そのて決められると考えられる。 メカニズムについては、磁界誘起型の引力的なピンニン謝辞 試料を提供して下さった* *新日本製鐵の森田充氏に グと、近接効果の下での運動エネルギー相互作用による感謝いたします。 反発的なピンニングの立場からさまざまな議論がされて いる。今回は溶融法 Y-123 で観測されるピーク効果の機 構を明らかにするために製作条件の異なる 4 つの試料を 作製し、 SQUID 磁力計を用いて c 軸方向の磁化を測定 し、臨界電流密度を評価した。また測定の結果は磁束ク リープフローモデルによる理論結果と比較検討する。 測定 試料は溶融法 Y-123 超電導体であり、試料の製作 条件は 211 相も白金も添加しなないもの (試料 00)、 211 相のみ 25 wt% 添加したもの (試料 01)、白金のみ添加し たもの (試料 10)、および 211 相を 25 wt% と白金の両 方を添加したもの (試料 11) である。 211 相は磁界誘起 型と同じ凝縮エネルギー相互作用をするので、低 Tc相の ピンニングを調べる目的で添加するものであり、白金添 加は 211 相を微細分散させて、 211 相によるピンニング を強くするためである。サイズは 4 つとも 3.14 x 2.09 x 0.82 mm3程度であり、 c 軸は試料の長手方向に配 向している。臨界温度 Tcはすべて 90 K~91 K 程度でFig.M1agnetic field dependence * *of critical current あった。 SQUID 磁力計を用いて c 軸方向の磁化を測定 density at 77.3 K in each sp* *ecimen. した。 結果及び検討 図 1 に得られた磁化のヒステリシスか ら評価した、 77.3 K における臨界電流密度 Jcの磁界依 存性を示す。一般にピーク効果は 40 K 程度から現れ、 試料のピンニングが強くなるに従って小さくなってい る。また、試料 00、 01 を比較すると、 211 相の添加に より、低、高磁界では臨界電流密度は大きくなるが、中 磁界では小さくなっていることがわかる。これは中磁界 領域では 211 相による引力的なピンニングと近接効果の 下での低 Tc相の運動エネルギー相互作用による反発的 なピンニングの間の干渉が起こっているものと考えられ る。なぜなら、低 Tc相のピンニングが同様に引力的であ るなら、中磁界領域でも臨界電流密度が上がらなければ ならないからである。また、図 1 の実線は試料 00、 01 において 211 相によるピンニングを仮定したときの磁束 クリープフローモデルによる理論結果で、これより低、 高磁界領域ではほぼ実験値と一致していることがわか る。図 2 に試料 00、 01 の不可逆磁界 Biの実験結果とFig.I2rreversibility lines o* *f specimens 00 and 01.