Sm-123 超電導体のピーク効果の粒径依存性 Particle size dependence of peak effect in Sm-123 superconduc* *tor 九工大・情報工 A, 九大院・シス情 B, 東工大・応セ C, 長岡技科* *大 D, O小田部荘司 A, 松下照男 A;B, 高浜吉隆 C, 末松久幸 D, 山内尚* *雄 C OE. S. OtabeA, T. MatsushitaA;B, Y. TakahamaC, H. SuematsuD, H. Yam* *auchiC Kyushu Inst. of Tech.A, Kyushu Univ.B, Tokyo Inst. of Tech.C, Nagaoka * *Univ. of Tech. otabe@cse.kyutech.ac.jp はじめに Y-123, Sm-123, Nd-123 などの RE-123 系でかし他の試料では試料サイズは * *l44よりも小さく、した は中磁界付近に臨界電流密度 Jcがブロードなピークを持がってピンニングはすでに二* *次元的であり、ピンニング つことがあり、これは酸素欠損相または Ba 置換相にお効率が上がらないものと考えら* *れる。 ける低 Tc相のピンニングによるものであると議論され ている 1)。一方で、ピーク効果そのものは磁束線のディ参考文献 1) T. Matsushita a* *nd E. S. Otabe: Physica スオーダーにより引き起こされるという議論もある。こC 335 (2000) 153. れによれば試料の大きさが磁束線の縦方向弾性相関距離2) Y. Takahama et al.: Physic* *a C 338 (2000) 115. l44よりも小さいと磁束線のディスオーダーが無く、し たがってピーク効果が観測されないと予想される。本研TableA1verage particle size a* *nd its standard de- 究では、粒径の異なる Sm-123 超電導体粉末試料を準備 viation of each specimen.* * The ratio of the し、臨界電流密度のピーク効果について調べた。 average size of specimen * *to the longitudi- nal correlation length is* * also listed. 実験 試料は焼結法で準備した Sm-123 超電導体であ り、焼結後アニーリングを 350OC で 40 時間、酸素気流specimen______1____2_____3__* *__4____5__average4size9.(~m)88.55.04.42.2 中で行った。焼結した試料はいったん粉体にしたあと、standard deviation1(~m)5.44.5* *2.93.0 1.3 ふるいで大まかに分け、さらにエタノール中での落下の =l44 5.83 0.82 0.55* * 0.12 0.06 速度を利用して分離する水簸 (すいひ) 法を用いて 5aつt 77.3 K, 1.5 T の粉体の大きさに分けた 2)。試料の平均の粒径と分散をpeak effect yes (yes) (yes* *) no no Table 1 に示す。平均粒径は試料 1 が 50 ~m と大きく、 他は数 ~m である。分離した粉体は遮蔽電流を粒内に限 るために絶縁物の Y2O3粉体と一緒にし、ペレット状に 押し固めた。このとき、押し固めた方向におおよそ c 軸 が配向する。 試料の磁化を SQUID 磁力計を用いて測定し、磁化履 歴の幅より臨界電流密度を評価した。磁界の方向は c 軸 に平行に印加した。 結果および検討 Fig. 1 に 77.3 K および 80 K における それぞれの試料の臨界電流密度の磁界依存性を示す。低 磁界において粒径のもっとも大きい試料 1 が一番 Jcが低 く、粒径の小さい他の 4 つの試料の方が Jcが高い。これ はピンニングセンターの密度はそれぞれの試料で大きく 変わらないと思われるので、ピンニングセンターに出会 う磁束線の自由度の度合いが、試料サイズが小さい方が 高いためだと考えられる。次に Jcのピーク効果は試料 1 でもっとも顕著に見られ、試料 2,3 では若干見られるも のの、それらよりも粒径が小さい試料 4,5 ではほとんど 見られなくなる。この理由を調べるために、磁束線の縦 方向の弾性相関距離 l44と平均粒径 を比較すること にする。 l44は理論的には次の式で与えられる。 ` '1=2 ` '1=2 l44= C44_ff ' _Baf__ (1) L 2ss~0Jc Table 1 には 77.3 K でピーク効果が起こる 1.5 T にお ける =l44の値を示している。これによれば試料 1 は 十分に試料サイズが大きく、したがって磁束線のディスFig.M1agnetic field dependece* * of critical cur- オーダーが起こって最適なピンニングセンターと出会う rent density at 77.3 K and * *80 K for each ことにより Jcが高くなる余地があると考えられる。し specimen.