ミアンダ状 QMG 限流素子の交流通電損失 小田部荘司, 遠藤貴志, 松下照男* 森田充 (九工大・情報工) (*九大・シス情) (新日鐵・先端技研) はじめに QMG 超電導体バルクは高い比抵抗を有す 部連合大会講演概要集, p. 133 ることから抵抗型超電導限流器に応用することが検 討されている。これまでにミアンダ形状にすることに より長尺化した QMG バルク超電導体限流素子が作 られている。この特性を評価するためには実際に通電 する必要があるが、電流の大きさが数百 A ほど必要 になるためにパルス法通電により調べられた 1)。実 用に向けて実際に定常交流電流を通電したときの交 流損失の評価は重要である。本研究では 2 次巻き線 に Bi-2223 銀シース多芯線を用いた超電導トランス 2) を利用して、定常の交流電流を通電した際のミアン ダ形状の QMG 限流素子の交流損失について調べた ので報告する。 図 1 ミアンダ状 QMG 限流素子と電圧端子 実験 試料は直径約 46 mm で厚さ約 15 mm のディ スク状の QMG 超電導体バルクを、スライス切断お よ び 研 削 加 工 に よ り、 ミ ア ン ダ 形 状 に 加 工 し た。 素線の断面は 1.5 mmx0.5 mm であり、有効長さは 170 mm である 1)。 交流電流の通電には Bi-2223 超電導トランスを用 いた。交流電流の振幅の最大値は約 200 A であり、 周波数は 35 から 200 Hz の範囲とした。また測定は 液体窒素中 (77.3 K) において行った。電圧は図 1 に 示すように 6 つの電圧タップを設けて全体およびそれ ぞれの端子間で測定し、ロックインアンプを用いて 抵抗成分のみを測定した。また比較のためにブリッ ジ 形 状 に 加 工 し た 短 尺 の 試 料 (10 mm x 1 mm x 0.5 mm) についても同様な測定を行った。 結果および検討 図 2 に液体窒素中での各周波数に 図 2 77 K における様々な周波数における交流 おける損失エネルギー密度 W の交流電流依存性を示 損失 す。周波数により W は有意には変化せず、したがっ て粘性による損失は小さく、ピンニングによる損失 が主であることがわかる。またブリッジ形状の短尺 試料においても損失密度は変わらなかった。さらに Norris の楕円断面の線材およびストリップ形状の場 合の理論値を実線および破線により示す。楕円断面の 時の予想値に近く、矩形の断面比が 3:1 程度であると 断面を近似的に楕円と見なすことができると考えられ る。 次に図 3 に 50 Hz における各端子間で測定した電 圧 V を示す。各端子でのばらつきは小さく、また合 計した電圧は全体の電圧に等しいことから、試料が均 一に作製され加工による劣化が少ないことがわかる。 参考文献 1) 森田ら: 1999 年度秋季低温工学・超電 導学会講演概要集, p. 181 図 3 77 K, 50 Hz における各電圧端子間の電圧 2) 小田部ら: 1999 年度第 52 回電気関係学会九州支