Bi-2212 単結晶試料の不可逆磁界と磁化緩和率

                                            Irreversibility Field and Magnetic Relaxation Rate in Bi-2212 Single Crystal

                                              九工大・情報工  平野達也, 森久俊, ffi松下照男
                                              東大・工*   中山有理*, 下山淳一*, 岸尾光二*
                                              Kyushu Institute of Technology;  T. Hirano, H. Mori, T. Matsushita
                                              University of Tokyo;  Y. Nakayama, J. Shimoyama, K. Kishio
                                              hirano@aquarius10.cse.kyutech.ac.jp

    超伝導体の不可逆磁界や磁化緩和率などの特性はピンポテンシャルで決定される。これ
らの特性はこれまでにそれぞれ単独にピンポテンシャルを用いて説明されてきたが, 単一の
ピンポテンシャルから両者を同時に説明することはまだなされてない。そこで今回Bi-2212
超伝導体についてピンポテンシャルから不可逆磁界と磁化緩和率を導き, それぞれを実験と
比較し検討を行う。試料はFZ 法で作成したBi-2212 単結晶で, 酸素をオーバードープした
ものであり, Tc は78.3 K であった。不可逆磁界, 磁化緩和率の測定にはSQUID 磁力計を
用いた。磁束クリープの影響が小さい低温, 低磁界領域の臨界電流密度の測定値とスケーリ
ング則を用いてクリープがないときの仮想的な臨界電流密度を仮定し, これから集合的磁束
クリープ理論を用いてピンポテンシャルU0 を求めた。これから同じ理論を用いて高温高磁
界における不可逆磁界を求めることができる。一方, U0 とWelch の理論式から磁化緩和率
に関係した見かけのピンポテンシャルを求めた。Fig. 1 にこうして評価した不可逆磁界と
実験値とを比較する。磁束線の3 次元領域では両者はよく一致していることがわかる。ま
た, 磁化緩和率については値は多少異なるものの定性的にはよい一致を得た。磁束線の2 次
元領域での結果については当日議論する。

Fig. 1: Bi-2212 結晶試料における不可逆磁界。